群雄割拠・Jリーグ風雲録

Jリーグを世界標準へ。

J1 第7節 結果

平均気温が25度近くまであがり今期最も暑い中での第7節は、最近の中では1番の動員数、その中でも長居の大阪ダービーFC東京と浦和の味スタが4万人前後の動員となり数字を牽引した。今節では首位の神戸が負けて2位の浦和が勝ち首位に浮上と、首位交代劇が起きている。札幌は調子がよく本拠地負けなし記録が続いているようで、観客数が回を重ねるごとに微増している。小野伸二が復帰したことも大きいのかもしれない。 

f:id:digitalmarketers:20170418002859p:plain

 今回は少し神戸について触れてみたい。オーナー会社はご存知「楽天」。楽天阪神大震災の神戸でヴィッセル神戸東日本大震災の仙台で楽天イーグルスを持つという復興を宿命として背負っているプロスポーツ組織。オーナーは楽天・三木谷会長

古くは2002年日韓W杯でトルコのキムタクと呼ばれたイルハンを獲得したり、直近ではポドルスキを今夏から獲得するかと噂されたり、チームの負債10数億円を肩代わりしたりと、時折オーナーの資金力を使った話題の補強や経営が行われる。Jリーグの中では珍しい個人オーナーの影響力が強いチームである。当然ながらオーナーが強いチームの特徴もしっかりと持っていて、チームは育成型ではなく、他の上位チームで出番を失った準主力級を補強してリーグ中堅としての安定感を出すいわゆる再生工場的なチームになっている。

準主力級を集めているため、成績に堅実さがある一方で、華のない選手を集めすぎる傾向にあり、選手層はとても渋く、J1では全く目立たない存在になっているのは事実。また、準主力級であるがゆえに現役バリバリの旬な「代表選手」がいないという事も、集客の弱さに繋がっている。

また、集客に関しては集客努力よりも来場者からいかにお金を取るかという事への執念が強く、今年からはなくなったが対戦相手によって入場料が異なる設定(例えば浦和の場合は高いなど)にしていて強い商魂を垣間見る事もできる。楽天というチームは野球チームにおいても入場料値上げで努力経営数値を達成しようとするなど、来場したお客さんからの集金への意識が高い。

現在ポドルスキの噂がたっているのも、現在のリーグ中堅クラブとして安定感に対するブレイクスルーが欲しいというよりも、集客(ビジネスとしての採算を求める)のブレイクスルーが欲しいと思っているからだと思われ、その対策として名の通った世界的ストライカーをという気になっているのだと思われる。無名のスーパーストライカーよりも、有名なベテランストライカーの方が話が早いためか。

しかしオーナーはそろそろ気がついたほうがいい。

神戸は強くないからお客さんが来ないわけではなく、有名選手がいないからお客さんがこないわけではない。単に地元密着ができてないだけである。理由としては神戸は首位の間でもホームの動員数が伸びていなかった。なお、2015年のJリーグ発表の資料によると、神戸の入場料収入はJ1チーム中下から4番目である。神戸という街のポテンシャル、人口を考えると明らかに営業失敗である。

About Jリーグ:Jリーグ.jp

特に神戸には全国的な知名度を持つ滝川第二高校というサッカー強豪校があるなど、兵庫県はサッカーが地域に根ざしている街でもある。そこでうまく集客ができない神戸はやはり商魂だけが先走りすぎて地元密着がうまくできてないのではと感じる。

神戸と同じようにサッカーが盛んな街にあるプロサッカーチームとしては、浦和や清水、磐田などのサッカー王国と比べて明らかにクラブ経営力が劣る・・・そう考えざるを得ない。

首位であってもこの動員数なのだから、今節で首位から陥落し、このままズルズルと下がっていくようであれば更に動員数は見込めなくなる。神戸は有名な選手を集めて強さを得られれば動員数が伸びると考えたのだろうが、実際は首位に立っていても動員数には関係ないということがわかったと思う。クラブは強さとは別に、もっと真剣に地元密着を軸とした動員数戦略を考えるべきだろう。そうでなければ楽天がオーナーから手を引いた時、ヴィッセル神戸には何も残らずただただお金のない、若手の育っていないボロボロのチームとなってしまう。この数年、私は神戸の未来が危ないと感じ続けているが、J1で最も将来が見えないチームは、現在のところ神戸がダントツである。(昨年まではマリノスだったが中村の卒業で新しい世代の選手たちに未来が見えてきた)

 楽天は本社機能の一部を神戸にうつすなどで地元での雇用を含めた密着と貢献をしたほうがいいかもしれない。

f:id:digitalmarketers:20170418002842p:plain